小悪魔カレシ。
「そんなこと言わないでさ〜、お茶でもしようよ?おごるからさッ」
ナンパ男はつっけんどんな態度にもへこたれないで、わざわざ目の前まで回り込んできやがった。
うわぁ……。
肩まである長い金髪も、ヘラヘラだらしない顔つきも何もかも、見るからに受け付けないタイプ。
………ますますウザい。
無視だ、こんな奴。
「聞いてるのー?ねぇ、無視しな……ッ、いでででで!」
男の手が図々しく腕を掴んだ瞬間、迷わずあたしはその手を思いっきり捻りあげた。
「触らないで」
「……ぇ……?」
呆気にとられてる男の腕を離し、軽く押し戻す。
あたしの趣味は格闘技観戦。
趣味のおかげで発達した護身術が特技だったりする。
こうやって反射的に技をかけちゃうぐらい、造作もないこと。