タイムリミット
「奈未、大丈夫なの?」
鈴佳の声で過去から現在へ引き戻された。
正直大丈夫なわけねぇだろと思う。
病人が大丈夫って言うときは大体が強がるときなんだよ。
「もう見舞い、行ったか?」
首を横に振る。
「さみしがり屋だから早く行ってやって?俺ばっか行くと『男臭くなる』ってわめくからよ」
「うん」とうなずいて鈴佳は俺の部屋から出ていった。
その瞬間フッと力が緩みドアに体重を預ける。
君がいないと毎日がつまらない……―。
静かな部屋、1人分の布団に1人分の食器たち。