タイムリミット




弱い自分から早く逃げたくて病院を早足で出ようとした。


「おい!待て、悠吾!」


足の動きが止まった。



「…浅野」



「話がある。お前には帰ってもらっちゃ困るんだよ。…だから、もう少しつき合ってくれね?」


おっさんか、お前は。



「いーよ。つき合ってやるよ、有りがたいと思えよな?」


零れそうになった涙を拭う。

また涙が溢れる。



泣くなよ、強くなるんだろ?


奈未の為に。





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