タイムリミット




「いいお友だちを持ったね、悠君」


ふわりと笑う彼女は、
本当に愛しいと思う。


そのふわりとした笑みにこっちのヤキモチもとんでいった。


抱きしめれば抱きしめるほど想いが増す。


想えば想うほど、愛せる。


愛せば愛すほど、
かけがえのない存在になる。


だから、失うことが怖くなる。

でも、愛さないなんて、できないから。

愛して愛されて成り立つものだから。


怯えた俺は、臆病だ。


「お前うかうかしてっと街にとられんぞ?」


含み笑いをして俺を見る浅野はとても面白そうだ。

とことん性格の悪い男である。

本当にこれが医者かと思うと、俺はがり勉に同情したくなった。



「街に奈未はやんねーよ」


「えー、そうかなあ?あたし意地悪な人より街君みたいな優しい子が好きだなー?」




< 86 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop