猛獣に射抜かれる様な愛


「…お前は……――」


「ん?なぁに?」


「…いや、何でもない」




俺が思ってるよりもずっと、悲惨な経験をして来たのだろう



俺は自然とそう思った




「…ねぇ死ぬってどんな感じなのかな?人は死んだら何処へ行くと思う?」


「…どうしたんだ急に」


「…何となく」




良く見るとソファーに座り膝上で手を握るその手が小さく震えている



…発作か?



女は強く握り締め震えを止めようとしている事が伝わる



…過去の事件から発作が起きてるのだろうか。だとしたら、この女が男を求めるのは…全て過去のせいか。


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