猛獣に射抜かれる様な愛


「…やけ酒とはお前にも感情ってもんが、あったんだな」


「………」


「何今更寝たふりしてやがる。今、目が覚めたんじゃねぇのか?」


「…やけ酒なんて、しないわ。感情がないのは、お互い様でしょ」




結菜はベッドへ寝かされた時眠りから醒め寝言任せで矢斗へ礼を述べるつもりだった


人一倍鋭くごまかしのきかない矢斗に通用する訳もなく


“馬鹿な女”


と矢斗は口端吊り上げ不適な笑みを浮かべながらベッドへ身を起こす結菜を見下ろした




「まあな。一々感情入れてたら、この仕事はやってられないからな。お前の場合は訳ありみたいだがな」


「…別に、貴方と同じよ」


「…ほう」




矢斗はフイッと視線を逸らす結菜の顎を指先で摘み強引に顔を上げさせた。


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