大きなクリスマスツリーの下で
誠司は、ジェーンにアメリカに行くことを手紙で告げた。

すると、『すぐに来い』と返事がきた。

誠司は、貯金をはたいてアメリカ行きの準備をした。
だが、航空チケット代が足りなかった。

母親に頼んでチケット代を借りようと思った。
しかし、母親は息子のアメリカ行きを反対する。

夫を亡くして、ひとりで旅館を営んできた母親は、とても勝ち気の性格だった。

大学に行かずに外国に行く息子に対して、受験から逃げているしか見えなかった。

そんな母親から、チケット代を借りることは無理だった。

困り果てた誠司に助け船を出したのは、兄の涼だった。

「おまえが、そこまで行きたいのなら、自分を試してみろ」
と、誠司の気持ちをわかっているように、涼はチケット代を出してくれた。

誠司は涼に感謝した。

そして、大きな借りができた。




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