大きなクリスマスツリーの下で
食事を終えて、二人はオルペラ街の路地を歩いた。

レンガ敷の歩道の両側に土産屋が建ち並んでいる。
どこの店にもツリーが置いてあって、イルミネーションが輝いている。

「ネェ・・・・・・セイジ・・・・・・来年ノクリスマスハ、フロリダニ行カナイ? 」
エミリーが、誠司の腕を掴んで体を寄せて甘えるように言った。

「・・・・・・」
誠司は、よそよそしくなっていた。

「フロリダニハ、パパノ別荘ガアルノ。ソコニ行カナイ? 」
エミリーは笑顔で聞いた。

誠司は何も答えられなかった。

「エミリー・・・・・・」

「ナニ? 」

誠司は別れを切り出そうとしたが、エミリーの顔を見るなり、もたついてしまった。

「もう帰ろう」
誠司が冷めた言い方をした後、エミリーから離れて、ひとり車の方に向う。

エミリーは、キョトンとする。
いつもの誠司ではないことが、食事の時よりも強く感じとれた。











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