大きなクリスマスツリーの下で
「勤めている系列のレストランが、ニューヨークにもあるんだ。そこでチーフ・マネジャーとして働いてみないかと誘われているんだ」

「じゃ、ニューヨークに行くのか? 」
涼が興味深く聞いた。

「ああ、そう思っている。来年には、ニューヨークに移り住むつもりだ」
誠司がキッパリと言った。

「もう一度、日本に帰ることを考えてみる気はないか? 」
涼は、誠司の言葉に反するようにズバリと聞いた。

「旅館を手伝ってもらえないか? 人手が欲しいと思っているんだ。他人を雇うよりも誠司が働いてくれたら、自分も助かることだし、なによりもおふくろが安心するんだ」

涼は、心の内を打ち明けて頼むように言った。





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