大きなクリスマスツリーの下で
「俺は、まだこの国で自分の生き方を見つけてはいない。だから、ニューヨークへ行くんだ」
誠司は、はっきり言い切った。

「おまえ、いい加減につまらない夢を見て、フラフラ生きているよりも、日本に帰ってこいよ」

涼は、誠司の理由が納得できるものではなかった。
そのため、命ずるように言い返す。


「私モ、オ兄サンノ言ッテイルコトニ賛成ダワ。日本ニ帰ッタホウガイイト思ウノ」
ジェーンも涼に同調した。

「どうしてわかってくれないんだ!?」
誠司は、訴えるように二人を見る。

「それじゃ、おまえは、この国に骨をうずめるつもりがあるのか? 」
涼は、突き詰めるような言い方をした。



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