大きなクリスマスツリーの下で

「誠司！　」
菓子売り場に入ると、涼の声がした。

誠司が振り返ると、涼はビニール袋を持って立つていた。

「よう・・・・・・」
涼はニコリと笑う。

「探したよ・・・・・・」
誠司はホツとする。

「すなない。ちょっと買い忘れた土産を思い出したものだから・・・・・・」
涼が、心配をかけた誠司に言い訳するように言って、ビーニル袋の中を広げて見せた。
中身は、丸い缶入りのクッキーとチョコレートが入っていた。
旅館の常連客に渡すものだと説明をした。

「チケットは持っているのか？　」
誠司が、気にしていることを真っ先に聞く。

「ああ」
涼は内ポケットからチケットを取り出す。
チケットは、ＳＱ航空１１便、時刻は１４：１５、ＮＡＲＩＴＡと書いてある。

「大丈夫だな。それじゃ、まだ出発まで時間があるから、どこかでコーヒーでも飲もう」
誠司は涼を誘った。