大きなクリスマスツリーの下で
二人は、空港内にあるピザ屋に入った。
二人は、カウンターに座った。

誠司は、コーラーとシーフードピザを頼んだ。
涼は、ウイスキーのハイボールを頼んだ。

「仕事のほうはいいのか? 」
涼は、ボソリと聞く。

「ああ、なんとか人手の都合がついた」
誠司もそっけなく答えた。

二人はカウンターに座るなり、急に黙り込んだ。
お互いが、昨夜の言い合いのことを気にしている。

誠司は、ニューヨークへ行く気持ちを涼に話すのは、今しかない。
そう思うのだが、いざとなると言い出しにくい。

涼も静かにグラスを舐めるように、ハイボールを飲むだけだった。

おたがいに何かを言いたい雰囲気がある。
だが、それをうまく言い出せない。
兄弟の間に張り詰めたものをある。



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