大きなクリスマスツリーの下で
二人は店を出て、出発ゲート入り口までやって来た。

「それじゃ、元気でな」
涼が笑顔で誠司に別れを言う。

「母さんや、ねえさんにもよろしく」
誠司が別れの言葉を言った後、涼がゲート内に向う。

誠司は、涼の後ろ姿を見送る。
その後ろ姿が、どこか寂しいものを感じさせる。

誠司も、家のことを手伝うべき人間なのだ。
だが、それを全て兄の涼に任せて、自分は好き勝手なことをさせてもらっている。

それを素直に涼は許してくれた。

兄の優しさに甘えることに悪い気がした。
そう思った瞬間、
「兄さん! 」
誠司は涼に近寄った。



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