大きなクリスマスツリーの下で
二人は少し離れて、メインストリートを歩いた。

道を挟んで売店が建ち並んで、買い物客が賑わっている。
シンデレラ城周辺には、パレードの見物客が群れをなして集まっているのがわかる。

「ニューヨークヘ、行ク準備ハ出来タノ? 」
エミリーが、先に話かけた。

「うん・・・・・・」
誠司はエミリーの顔を見ずに、言葉をにごしたように言う。
どこかよそよそしい。

別の男性と結婚した昔の恋人に、誠司は親しく話すことに抵抗があった。

「ヤハリ・・・・・・迷惑・・・・・・・? 」
エミリーは、誠司に気を使う。

「いや・・・・・・そうじゃない」
誠司は、エミリーに気を使わせて悪いと思い、とっさに言い訳ぽく答えた。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

二人は、顔を見合わせた。
すると、エミリーの後ろにアイスクリームの露店が見えた。






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