大きなクリスマスツリーの下で
二人の子供が、誠司の前を全速力で走ってくる。
子供は、ふざけて追いかけっこをしていた。

前を走る子供が、誠司とぶつかりそうになった。

誠司は、慌てて道を作るようにして子供を避けた。
その瞬間、食べかけのアイスクリームを鼻先につけてしまった。

エミリーが、クスッと笑った。

「ツイテルワヨ」
エミリーが、自分の右手の指先を鼻先に触れて教えた。
そして、自分のトードバッグからハンカチを取り出そうとする。

「大丈夫だ」
誠司は、自分に照れるように笑って、内ポケットからハンカチを取り出し鼻先のアイスクリームを拭き取った。

笑ったことで誠司は、先ほどまでの緊張感みたいな空気を感じなくなった。









< 84 / 95 >

この作品をシェア

pagetop