大きなクリスマスツリーの下で
「パパカラ、言ワレタンデショ・・・・・・私ト別レテ欲シイコト・・・・・・」
エミリーは、別れた経緯をすべて知っているようだった。

「・・・・・・」
一瞬、誠司は考えこんだ。

「ああ・・・・・・そうだ・・・・・・君のお父さんから、娘と別れて欲しいって言われたよ」
誠司は、今さら隠しても仕方ないと思い素直に答えた。

「本当ハ、セイジノ方ガ辛カッタハズナノニ・・・・・・私、何モワカッテイナカッタ・・・・・・」
エミリーは、しんみりと過去を振り返るように言った。

「昔のことだ・・・・・・そんなに自分を責めることはないさ」

誠司の言っているのは、本心からだった。
今さら昔のことを言っても、どうにもなるものではない。
今は、思い出話にしかならない。


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