大きなクリスマスツリーの下で
「ネェ、セイジ・・・・・・覚エテル ? 」
エミリーが、ツリーを眺めながら聞いた。

「何を? 」

「ツリーニ願イ事ヲ書イテ飾レバ、ソノ願イ事ガ叶エラレルッテ、言ッタ事ヲ・・・・・・」

「それは七夕のことだよ」
そのことは、誠司が冗談で言ったことだった。

「ソノ話ハ、トテモ素敵ナコトダワ」
エミリーは、冗談であることを知っていて話をしている。

「私ネ・・・・・・家ノツリーニ、元気ナ赤チャンガ、生マレテクルヨウニ、オ願イシタノ」

「えっ!」
誠司が、けげんな顔をした。

エミリーは、はにかむ様子で自分のお腹の部分を両手で触れた。

その姿を見た誠司は、エミリーに子供が出来たことを知った。
大人のような雰囲気があったのは、母親になることへの意識の表れだったんだと、改めて思った。








< 92 / 95 >

この作品をシェア

pagetop