恋雨‐koiame‐





あたしが立ち上がったのに、紀田はずっと座ったまま。



「ねぇ、行かな」

「分かってたんだよ」




あたしの声に重ねながら話し出した。






「分かってたんだ。
志那ちゃんがアイツの事、まだ好きなのも。


…アイツが志那ちゃん好きになりかけてることも」


「……」




ストンと腰を下ろした。


あたしは何も言わない。






「振られる、って分かってた。


でも、いざとなったらやっぱりツラかった」


「………」





.
< 61 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop