犬に恋した。
プロローグ



雪が、降っていた。


「雪って、きれいだよね」


「あたりまえよ」


肩に降りかかった雪を、静かに彼女は手で払った。


「でもね、雪解けは、嫌いなの。
なんか、悲しい感じがするでしょ?」


その質問に、俺は答えない。

俺はただ、雪が俺の髪を濡らしていくことを、感じているだけだった。


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