犬に恋した。
「君が……寒さに強いだけなんじゃない?」
俺は小さくそう呟いた。
「そうなのかな」
彼女も小さく呟く。
ひと言で言って、モテていた。
彼女は全く飾り気がないけれど、とにかく、顔は並外れていた。
転校してきたその日、彼女は俺に言った。
「私ね、前の学校でいじめられてたの。
だから、今度は失敗したくないんだ」
そう言った彼女の横顔は、なんというか、希望に満ち溢れていた。
彼女の願いは叶ったのか、今やクラスの人気者にまで上りつめた。