犬に恋した。
「ん、いい噂。
諒子ちゃんはいつ見てもかわいいってさ」
その言葉を聞いて、彼女は安心したような表情を浮かべた。
「私褒められちゃうと図に乗っちゃうよ?」
声のトーンもいつも通りに戻った。
「どうぞどうぞ。俺は図に乗った諒子ちゃんも好きだよっ」
優斗は、何でも思ったことを言える性格。
それは、長所にも短所にも作用する。
時に人を傷つけ、時に人を笑わせる。
俺は何度も笑った。
けど、傷ついたことも、あった。
「ねぇ、諒子ちゃん。
諒子ちゃんは、好きな人とかいないの?」
「好きな、人?
それは……いるけど」
いるんだ。
その程度にしか、俺は考えなかった。
「えっ、マジ!? 誰?」
しかし優斗は顔を真っ赤にさせて、まさに今自分が告白されたかのように喜んだ。