夢幻の姫君
「ま、優……」

一番いやな奴が来てしまった。

「ご無事で何よりです。我が主上」
「いつの時代の奴だよ!!」

私の突っ込みにニッコリ笑って続ける。

「いやぁ、最近歴女が増えましたので、彼女達を落とす為にいろいろ」
「うん。わかったよ。君は10年で女たらしになったんだね」
「ハッ ……なぜそれを」
「自分で言ってんじゃねーか!!」
「口が悪いですよ主殿」

チッ 黙らされた。女たらしに負けるなんて屈辱だ。

「はい。そこまで。退院手続きが出来ましたので帰りますよ」

えっ 健人君帰るって……

「私お家に帰れますよね? ママンの所に帰れるよね?!」
「ママンって…… 帰れますよ今日は」
「今日は!?」
「ええ」

いやぁぁぁぁぁぁ お家に帰れない日が来るの~~~

「そんなわけないじゃないですか。帰れますよ。ずっといてもいいです。…………問題を起こさなければ、ね」

問題? 問題ってナニ?

「ののさんが退院するまでに落とし前つけるならして下さいね?」
「あぁ、あと報告が。立花 菜々子ですが。停学処分になったようです。膨大な寄付があったため、退学に出来なかったのかと思われます」

 結局金か……… どうしてやろうか。

私の周りの空気が薄くなる。

 それに慌てた怜斗が口を開く。

「ま、まあ立花は我々に任せて、クラスのほうを頼みます。物が浮いたことは、あなたの薬で“無かった事”にしてありますから」

いつ盛ったんだろう? まぁいい さてどうしようかな?

 怜斗と和哉が心配そうに私を見つめていた。
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