夢幻の姫君
何気なく車内にいた優と怜斗達による、私の誘拐?は暴れる私のご機嫌をとるという形で終了し、任意同行という形になり、丸く収まった。

 通報したところで、いや通報する時間すらないかもしれないが、健人が手を回して無かった事にしてしまうのだろう。 怖いよ ブルブル。

「寒いの?」
「いや、大丈夫」

恐怖でブルブルしていたのを寒がっていると思われたらしい。まぁ、想像して怖くなって寒くなったのは否定しませんが。

「マンションじゃないの?」
「いいえ、これは極秘ですので」
「何の?」
「私達の、です」

えっ と思う。何か思えばみんな表情が堅かった。

 いったい何が……………?

そう思っている間に、ホテルに到着した。高級ホテルがこの辺にあったのか!!と思っているうちに、部屋に押し込められた。

「痛っ!」
「失礼」
「何なの?! いったい!!」

ぜんぜん分からない。彼らが何に怯えているのか。

「声、聞きませんでした?」
「声?」
「新名とか言う奴が帰った後にです」

新名という名に、私と健人と真琴がビクッとしたが、そのまま隼人が続ける。

「見つけた。という声を聞きませんでしたか?」
「し、知らない……」

そう答えた、私に一同は眉をひそめた。
 
 な、何?
< 108 / 210 >

この作品をシェア

pagetop