夢幻の姫君
私の前で、5人による会議が始まった。

「聞き間違いじゃないなか?」
「そんな事ない! 俺はちゃんと……」
「お嬢は、【ヴェリノウス】の事を覚えてないんだろう?」
「あぁ、用心に越した事はないが……」
「狙われているのか?」

なぜか分からないが、健人がその会話に加わらない。
 どうして――――――?

「何故、健人は話に加わらないの?」

わたしの疑問に気づいた5人が健人を見る。

「知ってるんじゃないのーーー?」

黙って、健人を見る。

「俺は―――――」
「ケートとあろう者が、まだ言っていなかったのか?」

その場に知らない声が響いた。
 私達は唖然。健人は驚いている。
入れない場所に人がいる―――――?

「【姫】の居場所を知っていたのに、報告も無しで、許されると思っているの?」
「くっ」
「同情しちゃったとか?」

健人は黙る。

「貴方、何者?!」

耐え切れず口を挟む。

「これは【姫】。申し訳ありません。すぐ連れ戻しますから」
「えっ?」
「待てっ」

健人の声が聞こえた。
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