夢幻の姫君
私は彼を知っているの? 人違いじゃなくて? 春姫っていうのは私なの?
 驚いている私と彼に健人がおいうちをかける。

「彼女は“ヴェリノウス”の事すらも覚えていない。…………この世界は、見捨てられたのだよ。彼女を除者にしたせいでね」

“この世界”? ではココはどこなの? 地球ではないの? 違う星?それとも次元?
 疑問を浮かべる私をよそに、2人は会話を続ける。

「俺は除者になんて…………」
「してないと言い切れますか? 彼女を捨てた貴方に」
「捨ててなんかいない!!」
「では、彼女を信じられないと突き放したのは誰ですか? 自分の心を優先して、彼女の心を考えずに、そう言ったのは」

そう言った健人の目は冷たく、怒りに燃えていた。 初めて見るその姿に私を含む私の大事な仲間は黙ってしまっていた。いや、誰も口を挟めなかった。


状況が理解できないのだ。


私以外に力を使うもの、違う世界、私の知らない私を知る者、健人だけが知っている事。 すべてが理解なんて出来なかった。

現実離れしているために。

呆然と見ているしか出来ない私たちと同じように見ていた彼の側近?らしい男が話しかける。

「見捨てたって、どういう事だ。ケート」
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