夢幻の姫君
故郷…… そうだ健人は始めそんな事を言っていた。私は、地球人ではない?

健人は感情の読めない瞳のまま話す

「クーは、ここの姫。四季ごとに国があるこの世界の春の姫。敬うべきお方。真琴お前は母さんとの子だから、半分だな。ハーフ、みたいのなものだ」

「じゃあ俺にも力があるって事か?」

声を震わせた真琴が言う。

「聞こえたんだろう? 最後に別れた時のクーの“バイバイ”が」

ハッとして真琴は黙ってしまった。

誰も何もいえなかった。衝撃的すぎるのだ。

 特に私は、知らない自分があったことに動揺して、何も考えられなかった。

「クーは、本来の灰色に戻って生活してください」

その言葉を聞いた私は、力をかけていたのを解いて色を戻した。

放心状態のまま、夜が明けた。
< 117 / 210 >

この作品をシェア

pagetop