夢幻の姫君
早くに目が覚めた。まだ皆眠っているみたいだった。

 何かじっとしていられなくて、外に出た。

ここは春の国というらしく、春のように暖かく綺麗な草花が咲き誇っていた。

「綺麗…………」

綺麗な草花をみていて何かが見えた。

「え……?」

咲き誇っている中で、裸の木があったのだ。
 まるで、そこだけ冬のような―――――

じっと見ていると、木が震えだした。

「な、何? ど、どうなって……」

裸だった木は、蕾をつけ、膨らみ、咲いた。

 それを始めに、並べてあった木が咲き始めた。

一瞬の間に、完成してしまったのだ。

     桜並木が

「満開だ……… どうして?」

私が疑問に思ったままそこに立っていると、この国民らしい親子が歩いてきた。

「桜が……咲いてる? まさか、春姫様が……」

子供の手を引いている女の人は信じられないみたいだった。

「ママっ これが“サクラ”? じゃぁ姫様が来たの?むげ……」
「その名で呼ばないの!! 姫に失礼でしょう!!」
「ご、ごめんなさい。でもみんな言ってるよ?」

何を言おうとしたんだろう? むげ? 

 私がその親子を見ていると、その親と目が合った。

ヤバッ
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