夢幻の姫君
――貴女は彼らの自由を望んだ。しかし彼らは貴女といる事を望んでいる――

 そんなの、わかんないのに・・・ 

――わかります。彼らを見ていれば――

 どうして通話していないのに、分かるんだろう?

――ただ漏れですから。それに、貴女の事ならわかります。もう失敗はしない――

“失敗”? 何の事だろう。

――まあ、そこはおいといて昔話をしましょう。貴女は覚えていないそうなのですが、貴女が去った後の国の様子を――

――聴きます!!――

――では、会ってお話しましょう。ケイ・・・いや、健人に言えばわかります。彼は聴いていましたからね。・・・私は信用が無いらしい。では――

聴いていた? え、最初から? 知らない振りをしていたってこと?

 振り向くとバツの悪そうな顔をした健人が見ていた。

「で、では、行きましょうか」

健人を睨みつけながら、5人に言って外に出た。
 


  こっちの声を彼らに聞こえるようにして。
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