夢幻の姫君
連れてこられた場所は喫茶店みたいなところだった。

カラカランッ

木の音が綺麗になり、店に入った。

 私を見るなり店主のような人が走ってきて、

「春姫様!! ようこそおいで下さいました。王子はこちらです」

 複雑そうな私の顔を見ても店主は何も言わなかった。

  いい人だ!! と私はちょっと感激していた。
その横で、健人は

「さすがですね。貴女の事をよくわかってらっしゃる。・・・当然ですかね。あの人の一番は貴女ですから」

 最後のほうはボソッとしてて聞き取れなかった。

「誰が? 最後なんて?」
「そのうちわかります。・・・良いのかはわからないんです。誰にも」
「それって、どういう・・・」
「こっちだ。クー」

訊こうとしたら声が響いた。
 あのレンとか言う王子だ。

「なぜ、名前を? 私を知っていたから? ここでも“クー”なんですか?」
「そう、ですね。そうです。忘れて欲しくないように、ケイがつけましたから」

そうだったのか・・・ 由来はココなのか・・・
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