夢幻の姫君
 あ、あと・・・

「む、“夢幻の姫君”って呼ばれているのを聞いたんですけど、“春姫”とは違うんですか?」

その場の空気が凍った。

 まるで触れてはいけなかったかのように。

レンが口を開く

「そ、その話は後にしましょうか。昔の事を知った方がわかると思います」

そらされた。と思うが次に進まないので、それは聞かないことにした。

「昔の事と言われても、私は知りません。その事を聞いた時は“また”来たの? また消えるの? と言われました。“また”来たってどういう事ですか?」

それを言ったら苦い顔をされた。

 知ってしまったかと言うように。

「そこは国王じきじきにお話されるそうですよ。まずは国民と貴女の事です」

約10年ほど前ですがと、付け足される。

「え? 10年前は私は地球に・・・」
「時間軸が違うんですよ」

そうですか。スミマセン。


話は、10年前に遡る。
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