夢幻の姫君
「なっ・・・・・・」

話を聞いたクーは絶句する。

 あんな優しい人達が、治める主に刃を向けるなんて―――――

「・・・・・・そこまで、愛されてたって事さ。それを追い出した。亡き者にされたかもしれないと言われたらタガが外れるだろ?」

「そんなの―――」

「では君は、大事な親、親友、支えてくれた人達を奪われたら何をする?」

「それは・・・・・・」

「同じ事です」

黙るしかなかった。私だってそんなことされたら何するかわからない。
 最悪――――するかもしれない。

「その、国民の反逆はどうなったんですか?」

 止まってしまった私の代わりに健人が訊く

「今は、一応停戦という事になってるよ。姫が生きてるとわかったから。・・・・・・真実を知っても、国民の思いは変わらなかった。」

「真実?」

「俺にもその強さがあったら、失わずに済んだのかな」

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