夢幻の姫君
空けた先にはガラス張りの壁と、玉座があった。

 ガラス張りって、暗殺の危険ないのかな?

普通にそう思った。国民と争っているのならば、こんな所は命を狙われやすい。
・・・・・・見た目は綺麗なんだけど、ね。

ちょっと呆れていたら、レンに置いていかれてしまったので、慌てて追いかけた。

「陛下。お連れしました」

レンの言葉に座って部下と話していた男は、こちらに顔を向けた。

「ご苦労」

そう言って、私の方を向いた。

 国王は、なにか“王様”って感じじゃなくて、どこにでもいる男の人って感じだった。
・・・・・・太っていたけど。

 金持ちはやっぱり太るのかな? 運動しないから。

ハッ、私も運動しなければ!! 戻ったら運動する暇を与えてもらわなければ。運動しないのにいい物食べるから太る!! メタボになる!! それだけは阻止!! 断固阻止!!

 一人でそう思っていたけど、なかなか声を掛けられないので視線を合わせた。

私が目を合わせたら、国王は目を大きく見開いていて、何も言えないみたいだった。
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