夢幻の姫君
「花姫!!」 「メイラン?!」

レンと国王が叫んだ。
 そうか、彼女が花姫らしい。

「お姉さま。もう会えないと思っていましたわ。誰も行方がわからず。私も幼かったため遊んでもらった、という漠然な記憶しかなかったものですから」

 漠然とした記憶しかないのに、よく探そうと思ったな。この姫様は。
呆気にとられている私を気にせず、話を続ける。

「お姉さま。お話しましょう。いろんなことがあったんです。お姉さまがいなくなってから、この国は荒れました。この国にはお姉さまが必要なのです。ですから私のことは気にしないで下さい。私に帝位は似合わな・・・・・・」

「メイラン!!」

花姫が、何かを言おうとしたときに、国王が口を挟んだ。
 私は彼女と共にそちらを見る。

ハッとしたような顔をしたが言う

「メイラン。ハルは覚えてないんだ。この国の事も、私達の事も」
「そんな・・・・・・。そんなのお父様達のせいですわ!!」

彼女は目に涙を浮かべながら、部屋から出て行った。

“メイラン”  “ハル”

妹は真名で、私は偽名で呼ばれている。
 それも原因の1つかもしれない。
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