夢幻の姫君
「この停戦状態で、望まれてない姫、望んで無い国民。その人達が望んでいるのは誰かあなたは知っている。その中で矢面に出される花姫の身にもなってください」

 ココに来て、初めて長々とレンはじゃべった。

「私は―――」
「血を継ぎたい? 望まれない王など、すぐに国民からおろされる」

レンは敵意をむき出している。一国の王にむかって。

「貴方が婿に来れば、国民も・・・」
「はぁ。諦めろと言っているんです。私が来たところで変わらない。むしろ我が国が危険になる。それに私は、まだ諦めたつもりはありません」

国王は黙った。言い切ったレンは堂々としているが、私は意味がわからない。

 キミ、私の過去説明してくれる様にしたんデショ? なに言い合ってんの。

そんな気持ちが通じたのかレンは普通の表情に戻った。

「彼女に、説明。して下さい」
「なら、貴方には退出してもらおう」
「わかりました」

出て行ってしまうらしい。心細いが、仕方が無いと思っていると声をかけられた。

「クー」
「な・・・」

何、と言おうとしたら、唇を塞がれた。レンの唇で。

えっ?
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