夢幻の姫君
「む? むむぅぅ」

逃げようとしても、体と頭が固定されて動けない。
 レンの胸をドンドンと叩くがビクともしない。

く、苦しいよ~

息ができなくなって、口を開けた。そこに

「ンッ?」

レンの舌が入ってきた。

 深いっ 苦しいよっ あ、あたしのファーストキスぅぅぅぅ

深い、深いキスをされて、力が入らなくなった私はズルッと崩れ落ちた。

「ふわっ。はぁはぁはぁ・・・・・・」

息も絶え絶えな、私を見て満足そうに微笑んだ。

「記憶が、記憶が戻ったら、このキスの意味を考えてみて」

レンがそんな事を言う

「ど、どういう事?」

まったく意味がわからない。この深いキスも、そのやわらかい笑みも。

「あぁ。鈍感にはキツイかな? 俺はあいつ等に負けるわけはいかないんだ」

酸素不足で頭がうまく回らない。疑問符しか浮かべれない。

「ま、負ける? 何?真琴達の事?」
「そうだね。」

そこで言葉を切った。レンの頬が少し赤いのは気のせいだろうか。

「俺は、・・・・・・お前が好きなんだ」
「は? ・・・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」

好き? スキ? はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

「あっ、ちなみに言っとくけど、あれお前のファーストキスじゃないよ」
「は?」
「だって、昔に俺が奪ったからね。」

はい? そういう仲? そういう仲だったの? 私たち!!

「さっきの反応だと、記憶を失くしてから初めてか。良かったよ」

言いたい事とやりたい事をやって、レンは出て行った。

 い、意味わかんねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
戻る前に混乱させんなぁぁぁぁぁぁぁ
< 136 / 210 >

この作品をシェア

pagetop