夢幻の姫君
「いろいろ訊きたい事がありますけど、今はあの世界に帰るべきだと思います。俺達は“失踪”になってると思いますから」

表情が読めない無表情のまま真琴がそう言った。

 それはうれしいんだけどね。でもこのまま? このまま帰るの?! いろいろ気まずいよ!!
 ワタワタしている私を見てミィとリツは

「成長してねぇな」
「鈍感さも最強ねぇ・・・」
「どーゆーこと?」
「「そのまんまの意味」」

意味がわからない。呆れたように私を見る彼らもまったく変わらない。
・・・私のせいか?・・・

「ぜひ、娘に会わせたかったわ」

ミィがボソッとそう言った。

「娘!?」
「そう、“その姿の貴女”とたぶん同い年のはずよ」
「“その姿”?」

さらに意味がわからない。この姿は私の本当の姿だと言うのに。
 そんな私に呆れながらミィは言う

「あんたそれ地球でのでしょ? こことは時間の流れが違うのよ。だからこっちとあっちで年が違うの。もちろん彼らも。10年ぐらいね」

マジ? じゃあ私は26? えっ? いや意味が・・・

「まぁ、あっちで育ったあなたにとってはこっち来ると老けるよ。でもあなたの周りは見た目の年取るのが遅いからねぇ。ヒトより長生きだし。気づかないよね」

「うぇぇえぇぇぇぇぇっぇ?!」
「うえって何? うえって」

ミィが笑いながらそう言った。 そして言う、驚愕の言葉を

「まぁおいといて、ノノは元気かしら?」

え? 気のせい? 知った名前だったんだけど・・・
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