夢幻の姫君
 それは、3限目の出来事

いつものように大嫌いな英語の授業を受けているときだった。

空見ていたとき、異変が起きる。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

悲鳴が聞こえた。

 廊下に向かって振り返る。
そこには―――

「久しぶりですね。NO.398コードネーム“サクヤ”」

そう言ったのは新名翔。
―――私の自由を、“この世界での”自由を奪った人。

 サクヤ? No.398とは呼ばれていたが“サクヤ”なんて知らない。

398・・・ なるほど数字から取ったのか。その方が楽だしな。

 どうして、こんな事を・・・

「あなたが逃げるから、こんな事になるんですよ?」

そう言って、部下に目線でさして人質に刃を近づける。
 出るしかないのか? でも、私はののに訊いてない。 どうせ離れてしまうのなら訊きたい事があったのに―――

「ね、ねぇ美羅。あの人、新名会長に似てない?」

ののが私の腕にしがみついてそう言った。
 それもそうだろう。あの人たちは兄弟なのだから。あの非道な一族の一員。

「あぁ、貴女は“今”そんな名前なのですね。 昔はクーなどと呼ばれ、世界最年少で最強を誇った、クラン・ブラウニング でしたか?」

 隼人がどう言う事だと言う様にこっちを見た。

そう、詳しくは誰にも言わなかった。心の整理が出来なくて。いや、嫌われてしまうのかと恐れていたのかもしれない。 それで言わずにきてしまった。

 こんな事が起きるまで。

「いや、今は違うんでしたね? “桐生美羅”さん? 」

爆弾は、落とされた。

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