夢幻の姫君
その〝客〟とやらを見た瞬間 頭が真っ白になってしまった…

「あっ、へっ、ナニ?」

言えたのはそれだけ、完全に思考が停止した
 なぜならその人は 一昨日店であったあの彼らだったのだから…

「こんにちは、『美羅』ちゃん?」

彼は微笑んでそう挨拶した
 その笑顔で母はノックアウトされ、顔を赤くして呆けている
よく見ると何か胡散臭そうだった。絶対黒いぞこいつ
私は注意することにし、問う

「どちらさまですか?」
強気に返す。なぜだか負けられないと思ったのだ。

「真琴、高杉真琴(たかすぎまこと)と申します」

失礼な態度で返したにもかかわらず、ニコニコ顔で返してくる。
さっきよりもうれしそうに。Mか?こいつ
 呆けている母を放っておき 続きをうながす

「ご用件は?」
 さっきより突き放した言い方になってしまった。しょうがない こいつは好きになれない

「弟が、夕方よりお世話になるのでそのご挨拶に」

は?
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