夢幻の姫君
薄れゆく意識の中で、クーは思う。

―――このまま消えてしまえば誰も巻き込まない
翔も痛い目見たから良いかな――――

そんな事思っていたら声が聞こえた。

『美羅! 起きて』『おい! ハル!』

私を呼ぶ声……?

――あなたはまだ必要とされているのでは?

え? 聞こえるこの声は……誰?

――戻りなさい。あなたを想う人が待っていますよ―――

「「起きて!!」」

「はっ!」

目が覚めるとそこには、風が周りに目視できる魔力の風が私たちを囲むように吹いていた。 まるで、台風の目のように。

「良かった……。心配したんだからね! この馬鹿美羅!!」

「ご、ごめん。…のの」

ののが目に涙を浮かべながら怒鳴っていた。

「あんな馬鹿魔力を使うから。死ぬわ!! ボケ!!」

「うぇ? 言葉遣いが おかしいよ? 壊れた? 壊れたの?」

「クー… たぶん突っこむ所そこじゃない」

え? もう一回振り返ってみる………〝魔力〟?

「え? のの、知ってた? 私……」

「知ってたよ。魔力ただ漏れだったし」

「嘘!!」

「嘘」

「え?」

「冗談だよ」

ののが笑いながらそう言った。

どっちが冗談?

「え? どっちが?」

「そこは自己解釈で」

「はい?」

え、ののさん?


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