夢幻の姫君
「ごめん。知ってたっていうのは嘘。だけど他と違うとは思っていたよ。私と永いこと一緒にいるし?」

「それだけ……で?」

「ううん。なんか、私に似いていると思ったの」

「え?」

「自分の力を拒絶しているあたりが」

振り返ると、確かにそうだった。力があったおかげで、ツライめにあってきた。
 でも今は、あってよかったと思っている。 人を守れるこの力が。

「でも、力を持っている人なんか私以外いないと思っていたから、何か変わってるなとは思ってたけど」

「私も思ってた。」

二人で笑う。 ちょっと幸せな感じだった。
 フッと思い出す。

「ののって名前、どこから取ったの?」

「え?」

「だって、〝ノーノ・フェンタリス〟って言うんでしょ?」

そう言うと、驚いた顔をして言った。

「・・・その名前久々に聴いた。……誰から?」

「貴女の母親、ミリア・フェンタリスから」

「え・・・、どこで……会ったの?」

驚いて、それしか言えないっとでも言う顔だった。

「我らが故郷、とでも言っておきましょうか」

「元気……だった?」

「ええ、怒鳴られてしまいましたから」

「ふふっ…… ナンデ?」

「親友に居場所は教えるものですって、黙って出てきたから。 ののはどうしてお母さんと一緒に暮らしてないの?」



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