夢幻の姫君
お母さんに会社に行く、と連絡し、怜斗に迎えに来てもらった。

「のの、また明日ね! 私会社行ってくるから」

「会社って……どっかのおばさ…いやお姉さんみたいだね」

「聞こえてるよ」

そう言ったら、ののはワタワタして

「え? おばさんなんて言ってないよ?」

「いま、言いましたよね?」

笑顔で返してやった。
 ののがどうしよう、って顔になってる。おもしろ。
可愛いなぁ、どうしよっかなぁと思っていると、

「お嬢、遅れました」

そんな声がかかったので

「おそ……」

遅い、と言おうとして振り返った先にあったのは高級車。


いわゆる、リムジン と言うやつだった。

助手席に乗った怜斗があたかも普通そうに、隣にいた隼人も普通そうにしていた。
 周りはいきなり現れた高級車とイケメンにキャーキャー言っている。

に、逃げたい。

後ろにずるずる逃げようとしていると、肩をつかまれた。

「逃げるなよ?」

最上級の笑顔でそう隼人に言われました。
 お姉さんにはとてもとても黒く見えるけど気のせいかな? 怖いよ? 笑顔がこんなに怖いなんて知らないよぉぉぉぉぉぉぉぉ

「な、何でり、リムジンなの?」

引きつった顔でそう言ったところ

「何でって、普通だろ?」

腹黒2号はそうおっしゃいました。
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