夢幻の姫君
車から降りて見た会社は予想以上に

「大きい……」

大きかった。
 普通に人住めるんじゃないかと思うし、絶対無駄な箇所多いと思った。

「まぁこれでも支社ですからね。ブラウニング本社はもっと大きいですよ。覚えてませんか?」

3歳の頃なんて覚えてないのが普通です。強烈すぎて覚えてるのもあれば必要な事もあるけど。力使えば大丈夫。
……おそらく。ハイ。

「覚えてない。これ、何階まであるの? まず玄関まで遠いんですけど」

「う~ん。2、30階はあるんじゃない? ここ隠し部屋とか隠し階とかあるし」

え? 10階って結構差があると思うんですけど。〝隠し部屋〟?〝隠し階〟?
 ……何ソレ。

そう思いながら、自動ドアをくぐると目の前には豪華な玄関に豪華な受付嬢がいた。
 入ったすぐに

「怜斗様、隼人様こんにちは!!」

「お久しぶりです。今日はどのようなご用件ですか?」

「キャー、怜斗さまぁー。隼人くぅーん」

耳障りな女性特有のキーンとする叫び声が聞こえた。

様?

 何だ。こいつ等は芸能人かよっ!
……か、カッコイイのは認めてあげるけどっ

「真琴に用があって、行きましょう」

そう言うと私の手をとってエレベーターに歩き始めた。

 私の耳には、誰よあの女、怜様になれなれしい。とかブスのクセになど、さまざまな妬みの声が聞こえてきました。ねぇ、わざと? わざと聞こえるように言っているのかなキミタチ。

金切り声を聞かされてイライラしていた私は、正面きって言えやこの性格ブスめ!!と荒波立っていました。ええ。性格ブスと金切り声は大嫌いです。
 悪口言ってる暇があったら仕事せぇ!!

「怜斗、隼人。どうかしたの?」

そこに綺麗な女の人の声が聞こえた。


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