夢幻の姫君
今まで着ていた制服ではなく、新しい制服を着た。
ネクタイタイプからリボンタイプに変わった。

「リボン似合わない気がする……」

そう言うと

「そうか? どっちでも良いんじゃね?」

どっちでも似合っていると言う意味で隼人は言ったが、適当に返されたと思った美羅は

「どっちでもって何よ!!」

と叫んだ。

 気にするのに、気にするのに気にするのにぃぃぃぃぃぃ。
美羅は心の中で暴れる。
  隼人シメる。絶対シメる~~~

心の中の仕返しリストに隼人を記名した。

「そういえば、隼人とクラス違ったよね?」

「あぁ、どちらかは目標と同じだけどな」

そう簡単に返され、寂しいと思った気持ちは気のせいだと、心に押し込めた。
 そんな事言ってはいけない。重いと思ったら捨てられる。

 彼はそんな事をしないとは思うが、昔あったあの記憶がその言葉を言う事を拒む。

だから心を完全に開く事はできない。完全に開いている人はいないと思うけど、境界線の向こうに、もう一本線を引いてしまう。

 だから、踏み込む事は出来ないし、関わってくれなければ、関わる事もできない。
臆病なのだ。口ではたくさん言える。何でも言える。だけどいざとなったら何も言えない。

それなのに、一人で目的を果たす事なんて出来るのだろうか………

そう思っていると、頭にポンッと手が置かれた。
 見上げると――――――

「そんな不安そうな顔をするな」

え―――――――?
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