夢幻の姫君
急いで満月学園に向かったが、少し遅れてしまった。
能天気な真琴の見送りを受けながら、正門から走っていた。
しかし――――――
「な、何ここ……広すぎっ! 玄関までが遠い~~」
そう、普通は走って30秒足らずで玄関についてもいいはずなのに(うちの高校はどんなに足の遅い奴が走っても、10秒でつく)、全然つかないのだ。
1分走って、やっと見えるってどういう事よ!!
「……あそこに、ロータリーがある。きっと、あそこまで車で行くべきなんだろう。
チッ………真琴のヤツ」
ロータリーって……え? みんな車通学なの? 自転車通学とかいないの?
そんな私を見ながら、隼人が一言
「満月学園は、令嬢子息が集まる場所だ。だから自転車で来るヤツとかいねぇし、警備も万全になっている」
れ、令嬢子息……なるほど、だから門のとこに警備員が居たのか。うん、納得。
「だから、あんなとこで、降りたら、ちょっと、変な、顔してた、んだ、ね」
だんだん息が切れてきた。スカートは走りづらいし、靴はローファー指定だし。
隼人を見ると、涼しい顔をして走っている。息も乱れていなかった。
息が、切れ切れの私を見て隼人が止まった。
そこで、何を思ってのかニヤッと口を歪ませた。
「かばん持て」
そう言って、私にかばんを押し付けた。
「な、なんで……ひゃぁ」
文句を言っていると、抱えられた。横抱き。俗に言うお姫様抱っこ、ていうやつ。
「もう走れねぇんだろ?」
そう言って、隼人は不敵に笑った。 図星だったので言い返すことも出来ない。
そうやって、恥ずかしい思いをしながらついた玄関で、隼人が
「力使って、移動すれば恥ずかしい思いをしなくて済んだのにな」
そう言われて、ハッと気づく。ヤラレタと。
気づいたなら、教えてくれよ!!
そう思ったのは無理も無いと思う。
能天気な真琴の見送りを受けながら、正門から走っていた。
しかし――――――
「な、何ここ……広すぎっ! 玄関までが遠い~~」
そう、普通は走って30秒足らずで玄関についてもいいはずなのに(うちの高校はどんなに足の遅い奴が走っても、10秒でつく)、全然つかないのだ。
1分走って、やっと見えるってどういう事よ!!
「……あそこに、ロータリーがある。きっと、あそこまで車で行くべきなんだろう。
チッ………真琴のヤツ」
ロータリーって……え? みんな車通学なの? 自転車通学とかいないの?
そんな私を見ながら、隼人が一言
「満月学園は、令嬢子息が集まる場所だ。だから自転車で来るヤツとかいねぇし、警備も万全になっている」
れ、令嬢子息……なるほど、だから門のとこに警備員が居たのか。うん、納得。
「だから、あんなとこで、降りたら、ちょっと、変な、顔してた、んだ、ね」
だんだん息が切れてきた。スカートは走りづらいし、靴はローファー指定だし。
隼人を見ると、涼しい顔をして走っている。息も乱れていなかった。
息が、切れ切れの私を見て隼人が止まった。
そこで、何を思ってのかニヤッと口を歪ませた。
「かばん持て」
そう言って、私にかばんを押し付けた。
「な、なんで……ひゃぁ」
文句を言っていると、抱えられた。横抱き。俗に言うお姫様抱っこ、ていうやつ。
「もう走れねぇんだろ?」
そう言って、隼人は不敵に笑った。 図星だったので言い返すことも出来ない。
そうやって、恥ずかしい思いをしながらついた玄関で、隼人が
「力使って、移動すれば恥ずかしい思いをしなくて済んだのにな」
そう言われて、ハッと気づく。ヤラレタと。
気づいたなら、教えてくれよ!!
そう思ったのは無理も無いと思う。