夢幻の姫君
今度は消えなかった。
何だろうこれは。お札のようにも見えるし…

「それ、肌身離さず持っていてね」
「何で?」

彼は瞳を揺らす。そして少し悲しそうな目になって

「……そのうち分かります」

美羅は誤魔化されたような気がしたが、聞けなかった。
 聞いてはいけない様な気がしてしまった。
その空気を破るように

「仕事をして貰わないといけないですしね!」
和哉がそんなことを言った。

「仕事?」
ナニそれ

「あなたの過去に関係しているんです」

はっ? 私別に記憶喪失なんかじゃな―――

「夢を、見るでしょう?」

ドクンッ 心臓が大きく揺れる

「それを離さず持っていれば、必ず分かります。少しでも知りたいと思うなら離さないことです。もやもやで終わりたくないでしょう?」

ゆっくりと諭されるように話された。
 夢?アレは前世なんかじゃなく私の―――――?

脳の許容範囲を超えてしまったため、また美羅は意識を失った…
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