夢幻の姫君
美羅が意識を失った後の教室では、緊迫した雰囲気になっていた。
 HRをやりに入ってきた先生は、驚いて何もいえなかったが隼人が適切に処置をする。

ののの止血をした隼人は、騒ぎを聞きつけた和哉に言う

「東沢を運べ、俺は美羅を運ぶ。怜兄が迎えに来る」
「了解! 後で事情話せよ!!」

和哉はののを抱き上げ、隼人を待つ。

「先生、これから二人を病院に運びます。後で来てください」
「あ、あぁ」

隼人の剣幕に逆らえず、頷くだけの先生。
 隼人の鋭い視線は、クラスメイトに注がれる

立花はそれに震えたが、意を決して言う

「は、隼人君たちは騙されているのよ」

それを聞いた隼人は冷たい視線を浴びせさっきの美羅と話すのと正反対の冷たい声色で答える。

「騙される? あいつにそんな器用なことができるわけ無いだろう? 知らねぇ癖にわかった様に言うんじゃねぇ」

隼人の鋭い口調と、冷たい態度。はじめてみるそれにクラスメイトは恐怖を感じていた…
 助けを求めるように、和哉を見る。

いつもからは想像できない無表情な顔をしていたが、それでも隼人よりはと思い聞く

「か、和哉君はどう思う?」


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