夢幻の姫君
やはり、普段とは想像もつか無いように、鼻で笑って答える。

「愚問だな。俺も隼人と同感だ。あいつは騙すより、騙される側だからな」

美羅のことを言うときだけ、顔も声も柔らかかった。

「まぁ、今のあいつと俺らだと、騙されているのはあいつの方だ」

 騙すって言うのは言い方が悪いけどな とつけたす。
クラスメイトにはわからない、もちろん立花にも。

彼らとの絆は―――― 遠い昔からなのだから。

それを聞き終わった隼人が最後に

「今度これをやってみろ、ただじゃおかねぇぞ。 退学ではすまないようにしてやる」

低い声で言われ、立花は恐怖で倒れたが、隼人と和哉は一瞥しただけで美羅とののを抱えて出て行った。





その後学校には、坂崎兄弟ヤクザ説と美羅に手を出したら殺されるという噂が流れた。
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