夢幻の姫君
「強くなりたいのなら、大切なものを守りたいなら思い出せばいい。その中に君が望む力もある」

私が私のせいなのに“また”守れなかったことを悔いているのを知っているのだろうか?
 私が“また”と思う原因も――――
さっきいった力は、そのことなんだろうか?

「どうする?」

隼人が聞く。答えはもちろん

「思い出す!! 私の前で傷つけられる人を見たくない!!」

隼人は悲しそうな顔のまま、私の目に手をあてた。

「許せ、俺らにはお前が必要なんだ」

え? と思うまもなくゆっくりと眠るように意識を失った。
 悲しい過去を思い出すために



「ごめんな、やっぱりお願いを聞いてやることは出来なかったよ……」

隼人はその場で兄弟全員が思う“主”への謝罪の言葉口にした。
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