夢幻の姫君
クーの耳に届く

―――あなたは生きて、あなたはまだ親が生きている。一人じゃない。私の分も生きて―――


今のは、ハルの――――

むくりと起き上がる。そこで見たのは、が赤く染まった部屋と、たくさんの屍。

 そして前にある冷たいハルの体。

「きゃぁぁぁぁぁぁ」

さっきの映像が頭に流れる、ハルをかばったことと、ハルが女の子を倒し自分に命を与えたこと。

「いやぁぁぁぁぁぁ」

ハル、どうして? どうしてどうしてどうして――――?

危険を感じたのか、クーはハルを抱いて部屋から出ようとする。

「嫌だ。もうこんなところ―――『どこ行くの?』

ゾクッ とした。
 クーの前に現れた、顔の整った15,6の少年。
口角を上げ笑いながら言う。
  
   絶望の言葉を


「逃げられないよ、なぜなら君は僕の――――
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