夢幻の姫君
その言葉に、クーはビクッとした。
 それを見ながら翔は言う

「君の行き先が決まったよ。世界のブラウニング・カンパニーが君を引き取るそうだ。せいぜいそこで頑張りたまえ」

驚いているクーは何もいえない。同じく健人も。

「あぁ。力を引き出せたのならお願いをきこうか高杉健人。何を望む?」

考える時間さえも与えない。 でも健人の答えは決まっていた。

「私も、クーと共にそこへ」

その目には揺るぎない意思を感じた。

「“クー”ね。それは君がつけたのか高杉健人? まぁいい。でも私達は君を“クー”とは呼ばない、君は【プロジェクトSHA】のNo,398なのだから」

プロジェクトSHA? 健人はそんな名前かと知り。クーは考え込んでいる。
 SHAとはいったい…? 健人が考え出したとき

「さぁ? で、いつからなんですか?」

クーは“健人”に答え、翔が言った事は無視した。

「おや? 僕は無視かい?」
「興味がないことなので」
「興味がない?君を創ったのは僕なのに…」
「私をこの世界に出したのは母だ。お前ではない。私は高杉と高杉が望むものがあればそれで良い」

クーの切り返しに口をふさがれた翔は言い返すのをあきらめ、言う

「明日だ。準備といってもするものがないと思うが」

そう言って、出て行った。
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